三井精機のモノづくりノミ状の工具(「スクレーパ」「きさげ」と言います)を使用して鋳物の表面を削り取っていく作業です。
きさげ加工を行う場所は摺動面(テーブルやコラムなどが移動する部分)、物と物が接触する面、テーブル・パレットなどです。きさげによって一度に削り取れる量は1〜3μm程度であり、除去量さえわかれば正確に自由な形状をつくっていくことができます。熟練者によるきさげ加工は、機械加工では得られない平面度、直角度、真直度を実現することができます。
――それは簡単に言えば「親よりも良い子供はできない」ということです。
たとえば加工機で出せる平面度が10μmとすると、それで加工したものは10μmよりも良い精度が出ません。親よりも良い子供にはならないのです。それでは親よりも良い子供にするにはどうするか?(5μmの平面度を出すためにはどうするか?) ・・・ それは「矯正(教育)して良い子にする」ということです。つまり、きさげという人間による矯正手段を通して親の精度よりも良い子供ができるというわけです。
三井精機のモノづくりの基本はこの理念に基づいています。
きさげで正確な面を出そうとした場合、何か基準になるものが必要になってきます。それが、次に述べる「三面摺り」によってつくられた平面のプレートで、「摺り合わせ治具」と呼ばれています。
きさげをかけた面は微小な凹凸となっており、高い部分・低い部分があります。加工した面に朱を塗り、摺り合わせ治具と摺り合わせます。すると、高くなっている面部分の朱がはがれます。朱がはがれた部分を再度きさげし、これを繰り返していくことで平面が作られていくのです。




平面をつくることは、きさげの基本です。それでは、きさげによってどのようにして平面をつくるのかを「三面摺り」という方法によって説明します。
「三面摺り」と呼ぶからには、当然3つの面をつくるということです。では、なぜ3面なのでしょうか?
たとえば図1のような形の3つの平面をきさげでつくったとします。
図2のように3枚のプレートをそれぞれ違う組み合わせで摺り合わせます。ここでも先ほど述べた「摺り合わせ」の方法を使います。1と2、2と3はそれぞれの面がぴったり合います。しかし、この例の場合はたまたま2つの組み合わせがうまくいきましたが、2枚だけ面が合うことを確認しても平面とは言えません。それは1と3はぴったり合わないからです。
図3のように3つのプレートが平面になっていれば、図4のようにどの組み合わせでも面はぴったりと合います。つまり、3つのプレートがどのような組み合わせでも面が合う条件というのは平面しかないのです。三面摺りは、3枚のプレートをそれぞれ摺り合わせながら正確な平面をつくっていく作業です。