第2話

「きさげ」のお話 2

「きさげ」を行う目的

三井精機では機械のさまざまな部分にきさげ加工を施しています。もちろん高い精度を出すためですが、部分によって目的が異なります。

【物と物が接する部分】

ベッドとコラム、ヘッドとスピンドル、ボールねじブラケットと取付け面など、物と物が接する重要な部分にはきさげを施します。

それは一言で言えば、「ストレスをなくす」ということです。

例えば、図1のように平面が出ていないもの同士でも、ボルト等で締め付けて強制的に面と面を合わせることはできます。しかし、物体には常に元に戻ろうとする力が働いており、これが「ストレス」となっています。長い期間ではこのストレスが精度悪化の要因となります。

【図1】

【図2】

図2のように、合わせ面にきさげをかけ平面をきちんと出せば、面と面を合わせる際にはぴったりと合いストレスもなく長期的に安定します。

さらに、取付け面にある傾向をつけておくということも、きさげの重要な目的です。

ここでは立形マシニングセンタのコラム取り付けを例にとって説明します。図3はコラム取付け面をまっすぐに加工した場合をあらわしています。
ここにそのままコラムを取り付けるとコラムからは重いヘッドが出っ張っているため、コラムは前のめりに倒れてしまいます。

そこで、図4のように取付け面にあらかじめ倒れ分を勘案してきさげによって傾向をつけます。するとコラムを載せたときにちょうどまっすぐになるのです。

【摺動する部分】

テーブル、コラム、ヘッドなどが移動する摺動面の精度(真直度や直角度など)は機械精度の重要な要素です。摺動面でやっかいなのが、その上をモノが移動するということです。
よたよたしないで、まっすぐに移動することが求められますし、移動すれば重心の変化が生じたりします。

図5は機械加工でまっすぐに仕上げられた摺動面です。この上をテーブルが移動した場合、ストロークの両端部分でダレてしまいます。中央部の精度は良くても、両端部の精度は落ちてしまいます。

図6はきさげによって摺動面にある傾向をつけた場合をあらわしています。たとえば、わずかに(機械の大きさや仕様によっても異なりますが、数μmほど)中央部を低くしたカーブをつくります。
こうすることで、その上にテーブルが載って移動したときには両端部でもダレずにまっすぐ動かすことができるのです。ここでは垂直面内での説明をしましたが、もちろん水平面内でも同様のことが言えます。

また、きさげした面が直接摺動面になる場合は微小なポケットが油たまりとなり、摺動面の潤滑と保護に役立っています。

ガイドレールの取り付け方法の違い

すべり方式のガイドレールを例にとって、一般的な方式と三井精機の方式の違いを説明します。

図7は鋳物の表面に焼入れ処理を行い、硬度を確保してからベッドウェイグラインダーで研削加工し摺動面をつくります。
精度は一般的なものであり、表面硬度も高くないため耐久性も劣ります。摺動面が破損した場合も修復が困難です。

図8は三井精機が行っている方式です。鋳物のガイドレール取り付け面をきさげ加工で真直度等を出し鋼材を焼入れ研磨したガイドレールを鋳物面の裏側からボルトで固定します。
こうすることで初期精度はもちろん、長期的にも安定した精度を保ちます。また、ガイドレールも充分な硬度を持っているため耐久性も充分です。万が一、ガイドレールが破損した場合も交換が容易です。

▲ページの一番上へ