2006年08月02日付け日刊工業新聞記事

【標題】 第36回機械工業デザイン賞(4)日本力(にっぽんぶらんど)賞−三井精機工業 【本文】 「250ミリメートル角を全方向から削れれば、世の中にある加工物の85%に対応できる。これをカバーする機械をいかにつくるか」。三井精機工業の岩倉幸一専務は「5軸制御立形マシニングセンタVertex550―5X」のコンセプトをこう話す。  コンセプトの基本形は98年に発売したリニア駆動マシンで固まっていたが、「今回の企画段階ではまず、機械の大きさを考えた。このため初めから機械構造を5軸加工機専用に設定し、小型化を図った」(岩倉専務)。  こうしたメーカー開発主導によるプロダクトアウト的な発想のみならず「世間の流れが5軸加工や複合加工に向いてきた」(加藤欣一取締役)ことから、雰囲気を的確にとらえるためにアンケートを実施。マーケットインの手法を取り入れた。5軸加工機についてのアンケートでは、価格が高い、機械寸法が大きく場所をとる、取っつきにくい―などの声が上がった。これらをクリアすれば「標準機として販売できる」(同)と確信。こうしてメーカーとユーザーの意見を融合し、小型で価格が安い5軸加工機の開発方針が固まった。  Vertex550―5Xの特徴は、キューブオン構造にある。この構造により、板金カバーを単なるパネルとし構造を単純化できた。製造時の部品点数も削減でき、組み立ても容易になった。  また、ベッド(土台)を箱形構造とし、一つの構造にさまざまな機能を持たせた。例えば、通常の5軸加工機にあるA軸の回転支持部(傾斜テーブルの駆動機構)をなくし、Y軸の下にA軸の回転支持部を設置(ベッドの側壁内に組み込む形)した。これら構造上の工夫で、機械本体寸法が幅2×奥行き3メートルでありながら、径500ミリ×高さ325ミリメートルのワークを積載可能とした。  外観デザインも洗練されている。機械本体色には高級感を出す狙いのほか、疲労感を感じさせない色を選択した結果、基本色にはシャンパンゴールドを、作業員が触れるところをダークブルーと、色分けしている。  Vertex550―5Xはユーザーの6割が金型メーカー。位置決め/割り出し精度は、XYZ軸がプラスマイナス0・001ミリメートル(1マイクロメートル)、A軸がプラスマイナス6秒、C軸がプラスマイナス4秒と高精度でありながら、標準価格を4000万円以下に設定。このため中小製造業も導入に乗り気になっている。岩倉専務は「直線軸と同じ速さで回転軸も回る。同時5軸でこの性能を持つ機械はない」と胸を張る。 (安久井建市)

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